賞与の規定を通じて考える~就業規則の重要性
実践例でとりあげたおぐろ製菓店の賞与に関する規定ですが、若干あやふやなところも含んでいます。 ここではこうした賞与に関する規定について考えることを通じて就業規則の重要性をお伝えしていきます。
まずはおぐろ製菓店の賞与に関する就業規則の規定をご覧ください。
1 賞与は、原則として支給日に在籍する従業員に対し、 会社の業績等を勘案して毎年6月15日および12月15日に支給する。ただし、 会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合には、支給時期を延期し、または支給しないことがある。
2 前項の賞与の額は、会社の業績および従業員の勤務成績などを考慮して各人ごとに決定する。
3 賞与の額を決定する際の算定期間は、 6月15日に支給する分については前年の12月16日から本年6月15日まで、 12月15日に支給する分については本年の6月16日から12月15日までとする。
なかなか立派な規定だと思います。きちんと誰にいつどのような金額を支給するか、基本的なことは記載してあるからです。 しかし中にはもっと簡単に賞与に関する規定を定めている会社もあることだろうと思います。例えば・・・。
参考例1:
賞与を必ず支給することになっている
賞与は、毎年6月15日および12月15日に支給することとする。賞与の額は、
会社の業績及び従業員の勤務成績などを考慮して各人ごとに決定する。
この規定では、会社は賞与を必ず年2回支給しなければならないことになってしまいます。おぐろ製菓店の賞与に関する規定では、 業績によっては支給時期を延期したり支給しないことがあると明記されていますが、この規定にはそうした定めはありませんので、 会社の業績が良くても悪くても、 原則として支給することが前提となってしまいます。
厳しい世の中ですから、ときには賞与を支給することができないほど業績が悪化してしまうこともあることでしょう。 しかし就業規則にこのように定めてあるから支給せよ、と言われれば拒否できないと考えた方が良いように思います。
それでもこの規定では、支給額は業績に応じて決定するとされていますから、 業績が悪い場合は賞与額を少なくすることは可能と思われますが・・・。次のように賞与の額や算定方法がきっちりと決まっていたりしますと、 大変です。
参考例2:
賞与の額があらかじめ決まっている
賞与の額は、基本給×1.15×出勤率とする。
さすがにこのような決め方をしている会社はないと思いますが・・・。大昔の就業規則にはこのような決め方もあったのです。 これでは業績が良かろうが悪かろうがこの金額の賞与を必ず支給しなければならないことになってしまいかねません。
参考例3:
対象者がはっきりしない
賞与は毎年6月15日および12月15日に支給する。ただし、
会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合には、支給時期を延期し、または支給しないことがある。
支給日はきちんと定めてあっても、誰に支給するのかの定めが抜け落ちています。対象となる従業員は誰なのか、 いつ在籍していた従業員に対して支給するのかがはっきりしていないと困りますよね。パート社員やアルバイト社員がいる場合は、 こうした方たちが賞与支給の対象になるのかもきちんとしておかないと・・・。
このように、賞与の規定ひとつをとってみても、きちんと就業規則に定めておかないと、いろいろなリスクを抱え込むことになってしまいます。
会社もリスクを抱え込みますが、従業員も同じです。きちんとした規定がないばかりに、 もらえると思っていた賞与がもらえなかったりしたら大変です。
その結果、争いになってしまったり、お互いがお互いに不信感を持ってしまったりしたのでは、良い仕事もできなくなってしまいます。 それでなくとも忙しいのに、余計な労力を使ってしまうことにもなりかねません。
このような事態を避けるためにも、あきらかにできるところはあきらかにして、 きちんとした定めを就業規則で行っておくことが非常に重要です。特に中小企業の場合、 働く側の従業員と経営者が一体となってがんばらなければならない場面が多いですから、お互いが信頼しあって仕事を行っていくためにも、 きちんとできるところはきちんとしておきましょう!
なお、自社の就業規則にあやふやな点があったり、どうもおかしいなという規定があったら、ぜひ顧問の社労士に相談してみてください。 きっと親身になって相談に乗ってもらえることと思います。
ところで、おぐろ製菓店の賞与の規定についてですが。あやふやなところというのは、休職者に関してです。
今回平成17年12月の賞与については、見附○代さんが8月から病気で欠勤しており、休職の取扱となっています。
休職ですから在職はしていることになります。現在の規定では支給日に在職している従業員には賞与を支給することになっています。
冬の賞与については、算定期間の中に出勤した日もありますので、賞与を支給することに不自然な感じはしないと思いますが、 たとえば今後も休職が続き、来年の夏の賞与支給日を迎えた場合はどうでしょうか?
算定期間中に、1日の出勤もないのに、 現在の規定では賞与を支給しなければならないことになってしまいます。支給するにせよ、支給しないこととするにせよ、 こうしたケースをどうするのか、やはりあらかじめ定めておいた方がすっきりするように思います。
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2005年10月23日 01:56
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