この人保険に入るの?それとも入らないの?

社会保険労働保険の基本的な仕組みや役割はわかっているけど、パート社員も多いから、 どの人が加入しなければならないのかよくわからない。そんな声を時々耳にします。 そこで、ここではそれぞれの保険ごとに、加入しなければならない事業所と加入しなければならない人について説明します。

社会保険と労働保険の基本的な知識については、下記をご参照ください。
参考:社会保険と労働保険の基礎知識

1.社会保険について

(1)加入しなければならない事業所

社会保険は事業所ごとに加入する仕組みになっています。
ではまずどんな事業所が加入しなければならないことになっているか、確認してみましょう。

イ.法人の事業所

法人、一般的には株式会社とか有限会社ということになりますがそれ以外の形態であっても法人組織の事業所については、 社会保険の加入が義務付けられています。
したがって、法人の事業所の場合は、常勤の従業員がたった一人でもいれば、必ず社会保険に加入しなければならないということになります。
この場合の従業員には、会社の役員も含みます。
ですから、社長さんが1人だけでやっている会社であっても、強制適用事業所となります。

参考:加入が義務付けられている事業所のことを、強制適用事業所と言います。

ロ.個人事業の事業所

法人組織になっていない個人事業の事業所については、法人とは違い、業種によって、 また従業員の人数によって加入が義務付けられていない場合もあります。
まず、業種についてですが、以下の業種の個人事業の事業所については、加入が義務付けられていません。 どんなに多くの従業員を雇用していても、加入の義務はありません。もちろん任意で加入することは可能です。

農林水産業、理容・美容業、映画の製作業、演劇業、料理店、飲食店、接客娯楽業、 弁護士業、宗務業等

また、上記業種以外の個人事業の事業所であっても、常時5人未満の従業員しか雇用していない場合は、社会保険の加入が義務付けられていません。
もちろん常時5人未満の従業員しか雇用していない場合であっても、任意で加入することは可能です。

整理しますと・・・。
農林水産業、理容・美容業等以外の業種で、常時5人以上の従業員を雇用している個人事業の事業所には、社会保険の加入義務があります。
それ以外の個人事業の事業所については、加入の義務はありませんが任意で加入することは可能です。

なお、個人事業の場合は、事業所として社会保険に加入しても、実際にその適用を受けられるのは従業員さんだけです
事業主は、社会保険には入れません。
ですから昔は、オレも社会保険に入りたいから今まで個人事業でやってきたけど法人成りする、というような個人事業の事業主さんも、 少なくなかったのですが・・・。
なお、事業主の家族の方は、同居別居を問わずその事業所で勤務して給与を受けていれば、原則として加入できます。

(2)加入しなければならない人

社会保険に加入する義務がある事業所については理解していただけたでしょうか?
では次に、加入する義務のある事業所に勤めている従業員さんのうち、 どんな人が社会保険に加入しなければならないのかについて見ていきましょう。

基本的には、社会保険に加入している事業所で働く従業員さんで、常勤の従業員さんは全員社会保険の被保険者となります。
ここで言う従業員には、法人の役員も含みます。
ただし、年齢により、健康保険・厚生年金保険について被保険者になる人(40歳未満)、健康保険・介護保険・ 厚生年金保険のすべてについて被保険者になる人(40歳以上70歳未満)、健康保険・介護保険のみ被保険者になる人(70歳以上)がいます。

 介護保険については、65歳以上の方の保険料は、受給している年金から天引きになります。したがって、給与計算や賞与計算の際には、介護保険料を控除する必要はありません。

一方、以下の方たちについては、被保険者になれません。

イ.日雇いの人(ただし1カ月を超えて雇用される場合はそのときから被保険者になります。)
ロ.2カ月以内の期間を定めて雇用される人(ただし、この期間を超えて引き続き雇用されるときはそのときから被保険者になります。)
ハ.季節的な業務に4カ月以内の期間を定めて雇用される人(例えば、製氷業に携わるので夏の間3カ月だけ雇用される人など)
ニ.臨時的事業の事業所に雇用される人

また、働く時間が短いパートタイマーの方は、 以下の要件を満たした場合に被保険者となります。

1日または1週間の就業時間及び1カ月の就業日数が通常の正社員のそれと比べて概ね4分の3以上である場合
→被保険者になります。

逆にこれらの条件のいずれかひとつでもが、4分の3未満の場合は、被保険者になりません。
たとえば、1日の就業時間は正社員と一緒なんだけれども、1カ月の就業日数が正社員の4分の3未満である場合。
1カ月の就業日数は正社員と一緒なんだけれども、1日の就業時間が正社員の4分の3未満である場合。
などです。

※本来被保険者になるはずなのに、被保険者になっていないパートタイマーは少なくありません。社会保険事務所でも、調査の際には、 この点をもっとも重点的に調査します。
そして、もしもそういう方がいた場合は、すぐに加入手続きをとるように勧告されます。
場合によっては、その方を雇い入れたときにさかのぼって加入の手続きをとらせられることもありますのでご注意ください。
人数が多くなりますと、さかのぼって徴収される保険料は、莫大な金額になる恐れがあり、会社の経営に大きく影響を与えます。
実際このようなケースで、キャッシュのやりくりがつかず、大変な事態になる会社も少なくないのです。
目先の保険料負担にばかり気をとられて、 今まで大丈夫だったから今度も大丈夫だろうと考えて加入義務のあるパートタイマーを社会保険に加入させないでいると、 ほんとうに取り返しのつかない事態を招くことになります。
もしもパートタイマーを雇用している場合は、自社の取り扱いが適正かどうか、確認されることをオススメします。


2.労働保険について

(1)加入しなければならない事業所

労働保険についても、事業所ごとに加入する仕組みになっています。
労働保険の場合は、社会保険の場合と違い、法人組織であるか個人事業であるかを問わず、従業員を1人でも雇用していれば、原則として加入が義務付けられています。
ただし、農業・林業・水産業の一部については、任意での加入となります。

(2)加入しなければならない人

労働保険の場合は、労災保険と雇用保険で加入しなければならない人の考え方が違いますので、労災保険と雇用保険に分けて見ていきます。

イ.労災保険

労災保険の場合は、正社員であろうと、パートタイマーであろうと、アルバイトであろうと、臨時にたった1日だけ勤める人であろうと、 およそその事業所で働く従業員は全員自動的に加入することになります。

ですから簡単と言えば簡単なのですが、問題になるのは、会社の役員さんや、 個人事業の事業主及びその同居の家族といった方の取り扱いです。
基本的には、労災保険は、従業員のための保険なので、会社の役員さん等の経営側の方については被保険者になりません。
ただ、役員であっても業務執行権のない役員もおられます。
同居の親族であっても、事業主の指揮命令に従って、他の従業員と同じ業務をしている方もおられます。
こうした方たちについては、被保険者になることがあります。
判定基準はなかなか難しく、給与計算からちょっと離れすぎますので、自社の場合どうなるのだろうか、と疑問に思われる場合は、 顧問の社労士又は労働基準監督署にお問い合わせください。

参考:こちらのサイトで比較的詳しくまとめてあります。
http://www.venturejinji-senmon.com/shaho_kanyusuruhito.html

なお、オレも現場で従業員と一緒に同じように働いてるぞ!と言っても、「代表」取締役や、 個人事業の事業主本人は被保険者にはなれません。
この場合は、特別加入という制度のご利用を検討されることをオススメします。
こちらも、顧問の社労士にご相談くださるのがいちばん良いと思います。

ロ.雇用保険

雇用保険も従業員のための保険です。
雇用保険に加入する事業所で働く従業員は、原則として雇用保険の被保険者になります。
ただし、65歳を超えた年齢で新たに事業所に雇用される人は、原則として被保険者になりません。
また、4カ月以内の期間を予定して行われる季節的事業に雇用される人、昼間学生等も被保険者になりません。

なお、パートタイマーについては、1週間の所定就業時間が20時間以上1年以上継続して雇用されることが認められるときは被保険者になりますが、 どちらか一方の条件でも欠けた場合は、被保険者になりません。

雇用保険も、労災保険と同じく、法人事業所の役員や、個人事業の事業主の同居親族についての取り扱いがなかなか難しいです。
こちらも、まず大原則として、会社の代表取締役本人と個人事業の事業主本人は、被保険者になりません。
また、役員であるなしを問わず、会社の代表取締役や個人事業の事業主の同居の親族も、原則として被保険者にはなれないということにも注意が必要です。

なお、同居の親族以外の役員については、役員としての立場と同時に工場長や部長といった従業員としての立場も持ち、それぞれに対して支払われる役員報酬と給与を比較したときに、 給与の方が多い場合には、被保険者になることがあります。
このあたりも非常に難しいですので、自社の取り扱いに疑問があるときは、勝手に判断せず、専門家である顧問の社労士に相談されるか、 直接管轄のハローワークに相談されることをオススメします。

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2005年09月14日 02:31

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