しまった!給与をたくさん払いすぎちゃった

先月の給与計算で、タイムカードを集計するときに従業員に早退の時間があることを見落としてしまいました。
当然、不就労の控除も行わなかったため、先月分の給与を多く払いすぎてしまいました。
見落としていた早退の時間数は5時間です。
支払をしてしまった後で気づいたのですが、どうしたら良いでしょうか? 新潟県 Kさん

Kさん、こんにちは。
結論から言いますと、今月の給与計算の際に、先月多く支払ってしまった分を控除して構わないと思います。
ただし、事前にその旨をその従業員さん本人にお知らせして納得してもらうなどして、できるだけトラブルにならないように気をつけましょう。

基本的には、もともと払いすぎていた金額を、後で返してもらうというだけの話ですから、何も問題はありません。
しかし、給与支払の5原則って何だろう? で見た通り、給与に関する基本的な原則として、全額払いの原則というのがあります。

ここで、全額払いの原則についてちょっと復習してみましょう。
これは、給与は、その全額を従業員に対して支払わなければならないという原則で、 したがって給与から勝手にその一部を控除したりしてはいけないということになります。

前月に払いすぎた分を控除してしまったのでは、この全額払いの原則に違反してしまうことになるのではないか、 と思われたのではないでしょうか?
たしかに、法律を読む限りでは、そのように受け取ることも可能です。

しかし、これについては、すでに似たような事例について最高裁の判決が出ておりまして。
その中では、給与計算を間違えてしまった結果、給与を多く支払いすぎてしまった場合に、 その過払い分を従業員の給与から控除するにあたっては、
(1)過払いのあった時期と、その過払いの分を給与から控除する時期が、合理的と認められること。
(2)あらかじめ従業員にそのことが予告されるとか、その額が多額にわたらないとか、 要は従業員の経済生活の安定をおびやかす恐れのない場合であること。
といった要件を満たしていれば、全額払いの原則に違反したことにはならない、とされました。

今回のケースは、先月の給与で払いすぎた分を、今月控除するということになりますから、 時期の問題はあきらかに合理的ということができると思います。
当然(1)はクリアです。
また、5時間の早退時間分の不就労控除ですから、金額的に多額とは言えませんし、これを控除したとしても、 従業員の経済生活の安定をおびやかすほどの事態になるとも思われません。
したがって、(2)についてもクリアです。

というわけで、最初にお話したとおり、今月の給与計算の際に、先月多く支払ってしまった分を控除して構わないですが、 事前にその旨をその従業員さん本人にお知らせして納得してもらうなどして、 できるだけトラブルにならないように気をつけましょうという結論になります。
上記のような理由から、過払い分の控除に関する労使協定も特に結ぶ必要はないと思いますが、締結しておけばいちばん安心できますので、 出来ることなら締結しておきましょう。

なお、今回のケースでは問題ないと思いますが、(1)、(2)の要件は、あんまり具体的ではないですので、 どのくらいまでなら時期が合理的と認められるのか、どのくらいの金額までなら従業員の経済生活の安定をおびやかす恐れがないのか、 あいまいと言えばあいまいです。
このあたりは、何とも言えないところですが、たとえばもしも金額がある程度多額になる場合には、従業員さん本人と良く話し合って、 たとえば何回かに分けて過払い分を控除したりするなど従業員さんの負担にならないように工夫して、 両方納得の上で進められるようにすることをオススメします。

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2005年09月26日 01:24

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